春の準備

畑仕事が忙しくなる季節がやって来ました。春の陽気に誘われて、畑に種をばらまきたい衝動に駆られます(笑)。しかし、はやる気持ちを抑えて、何よりもしなくてはいけない作業が、スケジュール表と畑マップの作成です。

「あれも育てたい」「これも育ててみたい」と色々と手を出した結果、今では約100品種ほどの野菜や草花を育てるに至ります。これを管理するのが、とても大変!おまけに何をどこに植えたか、すぐ忘れてしまう(悲)。

どの品種をどの時期に蒔くのかをまとめたスケジュール表と、どの場所で何を育てるかを計画した畑マップを作ることは、この時期のとても重要な任務なのです。

 

スケジュール表を作る時は、1年を春夏と秋冬の2シーズンに分けて考えています。
うちの畑では、畑に“一年中働いてもらう”ことを重要視しています。豊かな土には、土壌微生物がたくさんいます。土壌微生物の食べ物は、植物が根から出す炭水化物。つまり何かを育てれば土が良くなり、何も育てていないと土が悪くなる。それゆえ、畑で何も育てていない期間をなくすように努めています。

「それだったら、雑草でも生やしておけば良いのでは?」と思われるかもしれません。しかし経験上、雑草では土を肥やすパワーが弱いみたいなんです。なんと言っても土を良くするパワーが強力なのが、大豆やグリーンピースなどのマメ科の植物。

だからと言って、ずっと同じ場所にマメ科ばかりを育てているよりも、マメ科の大豆を育てたら、次のシーズンはイネ科の小麦を植える、と切り替えたほうが互いに育ちが良くなります。
そのような理由から、シーズン毎に育てる植物の科目を替えるようにしています。

 

同じ畑でも、土の状態や陽当たりの良し悪しなど、場所によってコンディションにかなりの差があります。そういった条件も考慮しつつ、「畑に一年中働いてもらう」「シーズン毎に野菜の科目を替える」ということを念頭に、種蒔きや収穫時期がバラバラの植物たちを、それぞれどこに植えるかを計画して畑マップを描いていく。まるでパズルを解くような作業です。
毎回、頭から煙が出そうになりますが、計画を立てている時は夢が膨らみ、とても楽しい時間です。

 

いくら計画を練っても自然が相手なので、思うようにいかないことも多いです。天候不順や鳥獣被害、種を蒔いてもなぜか芽が出ない、原因不明の生育不良、などなど。おまけに、うちの野菜たちは、とてもマイペース。早く次の野菜の種を蒔きたいのに、11月に入っても収穫が終わらないゴーヤ(普通は収穫は9月まで)があったりすると、収穫が完全に終わるまで待つうちに、種蒔きの時期を逃してしまう。。。まったくスケジュール通りにいきません。

 

どぎつい現代では、何事も計画通りにいかないと煩悶の種になります。失敗を恐れるようになります。しかし畑では、順調にいかなくったって、それはそれで経験が積めて面白く楽しめるのです。

失敗してもOK。何度でもチャレンジする機会がある。何か思いついたら実験してみる。

私にとって畑は、萎縮した心を開放してくれる場所でもあります。そういう場があって本当に良かったなと思っています。